2009年1月28日水曜日

京都日本画新展

美術館「えき」KYOTO
平成21年1月24日~28日

推薦されて制作した、若手の日本画家さんの作品を展示するもの。
師匠と弟子、団体展のなかでの評価とか人間関係ってしんどいなー
と思うのが、この推薦制の展示とか賞選考のシステム。

賞を受けたり大きな展示に出したりすることは、
そりゃ大きな実績になるのかもしれないけど、実績の大きさと実力とは
どう比例するんだろう。

なんかそういうことが気になって、あまりちゃんと見れてませんでした。
やはり、私はこぢんまりしたグループ展や、個人展のほうが好き。
しかし、花の絵が多かったなあ。



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京都御所ゆかりの至宝-甦る宮廷文化の美

京都国立博物館
平成21年1月10日(土)~2月22日(日)

結構沢山お客さんが入っていました。
火曜の午前中だったのに! やはり御所関係は人気あるのかな。

最近土佐派の作品を目にする機会が多く、
自分の中で大分学習意欲が高まっていまして、
今回は《車争い図屏風》右隻を見ることが出来て良かった。
描写の形態表現、主に輪郭の処理と色面処理が、とても綿密で均質。
つくり絵、とはよく言ったもので、描画の手が込んでいる。
近距離での鑑賞に対して破綻がない。
ただ、屏風のような大画面にのせるには、地味な感じがする。
画面の全体観でバランスを取る姿勢が少ないのかも知れない。
同様に細密に描き込まれた探幽の《源氏物語図屏風》に比べると、
遠くから見た艶に欠けるような気もします。

御所障壁画の展示は、作品研究的には興味深い作品が多く
並んでいましたが、企画として、この作品群で何を提示したいのかが
いまひとつ見えない気がしました。
博物館だからそういうのは気にしないで良いのか・・。

南禅寺の襖絵は筆者問題込み入ってますね―・・
確かに襖ごとに筆はこびが違う。
でもなにより、モノそのものの状態が良くなくて、見ていて苦しい。
《群鶴図》が素敵。

引手と釘隠の展示が充実していて、それが私的には今回の目玉。
金工技術の最盛期とも言われる、寛永期の作品が沢山出ています。
《花手桶形引手》が、とりわけ素晴らしいです。
桶の木目をものすご――く細かく刻み入れている・・。

もともとは、これだけはどうしてもどうしても見たいという作品は
無かったのだけど、見に行ってみれば、なるほどと勉強出来た展示。



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2009年1月24日土曜日

京都市美術館コレクション展 第3期 ふたつで一つ

京都市美術館
平成20年11月15日(土)— 平成21年1月18日(日)

京都市美のコレクションは名品揃いだな、と
つくづく感嘆するのが、この毎回のコレクション展です。
企画も、いつも上手いなーと思う。なにより、展示タイトルが素敵。

この展示でもっとも企画にぴったりはまってるな、と思ったのは、
北野恒富の《いとさんこいさん》。
それぞれ片方ずつだけだったら、この作品の魅力は無くなってしまうかも。
ふたつでひとつって、つまり、わかれわかれになっちゃいけない
ってことなんだ、ということを一目瞭然に教えてくれる絵。

企画とのつながりは別として、栖鳳の未完の作品《渓流》にどぎまぎしました。
最初栖鳳と知らずに見てて、「栖鳳っぽいけど、抽象画だなー」と
思っていました。
栖鳳タッチって、やはり独特の個性があるのねえ。



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上野伊三郎+リチ コレクション展

京都国立近代美術館
平成21年1月6日(火)~2月8日(日)

あけましておめでとうございます。
ご無沙汰振りのブログで大分緊張。
今年は、見に行った展示の感想は即日書く、という目標を掲げようと思います。

さて、京近美の展示。
京都芸大のデザイン科は、ウィーン工房の流れを受けてるんだよ、という話を
以前に聞いたことがあって、
それはどういうことなんだろう、と思っていたのですが、この展示を見て納得。
上野リチさんがウィーン工房の出身で、
そして長く京都芸大で教鞭をとっておられた、ということなのか。

ポスターは、上野リチさんの壁紙デザインで、ものすごく可愛い。
100年近く前のデザインだということが信じられない、鮮度の高さ。

展示構成は、リチのデザイン、伊三郎の建築に関わる仕事を
丁寧に整理するもので、豊富な資料群が十分に生かされている、という感じ。
この膨大な資料を整理管理するのはとてもとても手間なことだろうなあ。

展示の最後の方で出ている、
伊三郎の建築とリチの内装(主に壁紙)デザインによる
〈京都スターバー〉や〈クラブみち代〉の写真は、
不思議にレトロで、憧れてしまう。
リチの壁面デザインにしても、建築の構造にしても、作り込みすぎない、
有機的な無駄さ、空きがあって、
それが何とも言えない柔らかさをかもし出している。
今のデザインとは違う、異質なものだな、と思った。



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