2008年10月31日金曜日

愛知県立美術館「ライオネル・ファイニンガー展 光のクリスタル 」

ドイツの近代絵画は、昔油彩を描いていたときに、とても好きで、
特にアウグスト・マッケが大好きやった。
ライオネル・ファイニンガーの絵は、色調がマッケと似ている。
日本で普通にしていては滅多にお目にかかれないので、とても貴重な展覧会。

こういう、理論的に叙情を形作る絵画って、日本には無い感じがします。
西洋美術史の研究者さんは、造形言語という言葉をしばしば使われるけど、
確かに、論理的な造形活動を、造形言語、と呼んで捉えるのは当を得ている。

1920年代から30年代にかけての約20年間の作品はとりわけ圧巻。
ナイーブで精巧な画空間が本当に美しい。
静謐、という言葉がこれほど似合う絵もないだろう。と思いました。
クレーの絵に、奥行きと透明感と明晰さと、リアリティを加えた感じの画風。

常設に坂本繁二郎が2点出ていて、それも凄く良かった。




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徳川美術館「室町将軍家の至宝を探る」

今年は足利義満没後600年に当たるらしい。
それに因んだ展覧会。室町殿の唐物趣味を探る試み。
贅沢すぎ・・眼福。

相変わらず華やかな伝来を持つ品々で、キャプションを読むだけでおののく。
で、一巡では作品そのものをゆっくり見られず・・。
二巡目でやっと、ゆっくり鑑賞。

正直なところ、この系統の書画の良さはまだ理解できない。
梁楷、玉澗、牧谿、夏珪の名品といわれるものが続々出ていたのに。
逸品画風というものの受け止め方が、まだよく分からない。
むしろ分かりやすく技巧的なものに惹かれてしまう。

堆朱の盆が、泣けるほど良いものばかり出ていました。
二重彫りの堆朱、下地が見えない様に文様を埋め尽くす技巧。
朱の不透明な彩りの中に、いろんな色味が堆積して詰まっている感じ。
珍しい堆白の箱が出ていて、これが妙に冷たい質感で、
美しいけどむしろ異形な風合を醸し出していた。
青磁や天目も激しく良かった。

伝周文筆の秋冬山水図屏風は凄みのある寒さ。
室町期水墨画は寒い。桃山江戸とは違うなァ。


名古屋城・徳川美術館・愛知県立美術館を巡るのに
観光ルートバス「メーグル」を初めて利用しました。
1日乗車券で入館料が値引きされ、お得で楽ちん。



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名古屋城天守閣2階展示室「失われた国宝 名古屋城本丸御殿‐創建・戦火・そして復元」

名古屋は、意外に近いので、(鈍行でも十分日帰りできる!)、
ちょっと遠出をして遊びたい気持ちの時は凄く良い。
関西と文化圏も違うので、旅気分が味わえます。

名古屋城の天守閣の展示室は、いつも熱い企画展をされるので、
目が離せません。
今回も迫真のドキュメンタリー仕上げで、随分我を忘れて見ました。

昭和20年の5月に戦争で消失した名古屋城の、飾金具を中心に
痛々しいほど焼けただれた遺品、今は残っていない箇所のガラス乾板写真、
金具の拓本、建物の図面から、かつての城の姿を浮き上がらせる展示。
でも浮き上がらせようとすればするほど、
色々な媒体に残された情報を集めれば集めるほど、
失われたものの多さが浮き彫りになる、という感覚がぬぐえず、とても切ない。

火災を免れた障壁画のうち、今回は杉戸絵が出展されていました。
花車図は前期のみで残念でしたが、復元模写が出ていた。 
襖の方の復元模写に比べて、杉戸の方が、違和感ない感じ。
当初はこんなふうに、こってりだったのね、と、とても新鮮。
花桶図の杉戸は出ていて、これがいわゆる寛永期の静物画やね、と、見入っていました。

上洛殿の天井画の、枠飾の文様が金の型摺で、ちょっと注目でした。
染織の摺箔技法に近い感じ。
以前も見たはずだけど、そのときは気にしなかったなあ・・。

図録も濃厚な情報量で、勉強に困らない感じ。



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2008年10月27日月曜日

しばらく休んでました。

ブログのログイン方法も忘れちゃうくらい、休んでました。(泣)
もう晩秋だあ・・10月も終わってしまう。

ブログ放置しながらも、ちょこちょこ展覧会行っておりました。
万葉文化館の晨鳥社の展示とか。山口華楊の牛絵は目がとび出るくらいうまかった。
あと飛鳥の石舞台とか、東京の兄の個展とか、大琳派展とか。
樫木知子さんの、memでの個展にも。
女の子のスカートの描写がちょっと初めて見る感じで惹かれました。
モリス展は、最後の日本民芸のところがしょうゆくさかった。グラスゴー派が素敵やった。

奈良の大和文華館と名古屋城博物館と京都秋の文化財公開と楽美術館と京博の蒔絵展、
見に行かないと!



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