2009年2月2日月曜日

京都市美術館所蔵品展 画室の栖鳳

京都市美術館
平成21年1月24日(土)— 3月29日(日)

栖鳳尽くしの展示。
意外にも、未完の作品、結構残してあるのね、というのが一番強い感想。
なにがどうして未完のままになってしまったのか、ものを見るだけでは
よく分からない。
《船と鴎》、《竹》、《渓流》、どの未完作品も、ぱっと見た感じに、
作品としての問題点は無いように見えるからです。
でも栖鳳にとっては、それはもう続けて描いて完成させられるものではなかったわけで。
その決断の基準を知りたい気がした。
多分それこそが、画家独自の「作品」観を表しているのじゃないか、と思う。


「栖鳳紙」といわれるものを間近でじっくり見ましたが、見る限りでは
なんか分厚そう、というくらいしか分からなかった。
肌理は、不均一で細かい。多分繊維がぎゅっと詰まっているんだろうな。
それが物理的に滲み止めの役割を果たしてるんだろう。
こだわりの成果か、墨の滲みはすごくきれい。


絵が端正で上手いから、サラッとクールに描く人なのかと
かつては思っていましたが、でもそうじゃないんですね。
写生帖や下絵、未完の作品、栖鳳の制作についての回顧談が出ていて
さわやかな作風の裏側の試行錯誤が見えた気がします。




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