町田久美さんという画家さんの名を知ったのは、BTで取り上げられていたのを読んだのが最初。
強く太く黒い線が、印象的でした。
今回見に行けたのが、とても嬉しい。
作品数が結構多くて、小品も含めて16点ほど。
雑誌でみた線を、間近でじっくり眺める。ムラ、途切れの無い線。おおきな抑揚も無い。
もの凄い筆圧で描くので、筆を何本も駄目にする、とかいう話が載っていましたが、
この線の強さは、なかなかお目にかかれない感じ。
人体の変化形の様々が、主要なモティーフ。
赤ちゃんのようなぷりぷりした肉感が、幾何学的な円形・球形・楕円形に落とし込まれて、
無機質なのになまなましい。
人物って、ゆっっくり丁寧にそして正確に描いていくと、
逆に非常にシュールに人間離れしていくもんじゃないかなと、思う。
町田久美さんの作品は、ちょっと気味悪い感じで、またそこが魅力なんだと思うのですが、
こういう人体の不気味さは、ちょっと応挙に似ている。「人物正写図巻」の細密な描写とか。
「恐怖の谷」の話を思い出します。
ロボットなどを作る際に、人間に似せていけば似せていくほど、
違和感は大きくなって、不気味に見えるという心理の法則。
近づけば近づくほど不気味の谷に落ち込んで行く。
町田久美さんの作品は、人体の正確な形をある意味、非常にするどく捉えていて、
そしてそれだからこそ、身震いするような不気味さを感じてしまうのだと思う。
この方の凄い(なと思う)ところは、その不気味さを表現にうまく転化して、見るものの気持ちを
自在に揺さぶってしまうところですね。
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